霧の街/Oz
 
小さな
小さな
雫が
霧となって
街を覆う

光は
雲から
隠れ
街は
薄暗く
重たい

ソファーに横になり
窓から
世界を覗くと
ひどく
心が
静かに

何の音もなく
何の移ろいもない

無音のまま
世界は閉じられ
あるいは
世界の真裏へ

蝶に誘われ
僕は
青や
黄、ピンクといった
鮮やかな花たちの
蜜を集めては
花粉を
受け渡す

花弁が落ち
脂肪が膨らんで
実となり
種をつける
種は
地面に落ちて
芽吹き
また、
花をつける
その世界に既に
僕はいない
僕の息子達が
同じ世界を
でも少し違う
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