反響音/塩崎みあき
 
午後3時

熱い風の中で
詩を読んでいた

ベランダ
僅かな波の音
カモメの声
が途切れる
その向こうに蝉がいた

部屋は暗かった
出かける準備を
しなければならなかった
ので
焦っていた

大きな車のエンジン音

にわかに
虫がクルクルと
鳴いて
静まった

熱い風の中だった
戻る   Point(1)