反響音/
塩崎みあき
午後3時
熱い風の中で
詩を読んでいた
ベランダ
僅かな波の音
カモメの声
が途切れる
その向こうに蝉がいた
部屋は暗かった
出かける準備を
しなければならなかった
ので
焦っていた
大きな車のエンジン音
にわかに
虫がクルクルと
鳴いて
静まった
熱い風の中だった
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