連詩 「 知覚 」 よもやま野原・竹中えん・なき・夏嶋真子/夏嶋 真子
 
花はやさしさを携える(。永久にきみとした)い、)のちの)あふれるほうへ)
透明なナイフは今すぐあなたに刺さる「やさしいやさしい「つめたい…」あなた」
震えるフォノンのパズルは 遠い意識の底でゲルダを求める
指でカシャンとはじく歯車 動いたきみを五感のうねりで飲み込んだまま
口のなかで息づく少女の唄う恋/風/花になりたかった、わたし


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重ねた両手に落ちた涙に目覚めた心 温もりの風に身をゆだね
やわらかな闇を包む皮膚が一つの林檎を愛撫する
湖の栓を抜くような、共鳴に晒されている 愛の果てから索漠の果てまでが
湖底に春を敷いた
息吹は湖を押し上げる

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結末につづきを書きこみ月光をはさんでとじる水辺の詩集
寂として声なく満ちる詩集から言葉は闇を抜き取り眠る
木菟の静かに眠る箱のなかの無花果に書くやさしいみらい
満月の光が伸びる湖に指先を置きやさしく揺らす
孵化をする月のかけらに刻まれた詩(うた)をならべる朝(あした)の子ども }





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