かぜひき魔女の修業時代/吉岡ペペロ
 
ドキドキごころの靴音たてて

地下鉄の風に吹きあげられて

黒い帽子のかぜひきの魔女

修業でつけた魔法のちからは

五六ねんまえの魅力のまんまだった


やっぱり魔女はなんにも変わっちゃいなかった

宇宙のすべての存在は

魔女のメルヘンまもるしかなかった

かぜひき魔女は月よりも清浄で

ひかりのしずくが闇を照らして

その色は青だった

かぜひき魔女に靴下をはかせた

ほそい首にタオルを巻かせた

ベッドの窓辺のカーテンはしめさせた

眠るまえには水を飲ませて

背中にはガーゼのハンカチーフ

普通の日々がすぎてゆく

宇宙のすべての存在は

魔女のメルヘンまもるしかなかった


ドキドキごころの靴音たてて

地下鉄の風に吹きあげられて

黒い帽子のかぜひきの魔女

修業でつけた魔法のちからは

五六ねんまえの魅力のまんまだった





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