イギリスの味/みぞるる
シャッターの音には
変な顔が必要で
歩きにくい
ごつごつした石畳が
水の底に沈んでいた
あたしは花柄のあたらしい長靴で
口を曲げてウィンクした
パシャ
噛みきれないフランスパンのいじわるさは
今もあたしの歯を痛める
庭はいつもバラの香りがしていた
お祭りの日は
七色のステッキで魔法をあやつれる
光はいつもより優しくとどまり
記憶もまたじりじり焼きつけられた
〜〜〜 −−− ○□ 〜〜〜 ○○○―――――
青い瞳にうもれていく
たった四つの黒い瞳はひっつきあって
いつだって離れない
パシャ
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