吹割の滝/……とある蛙
 
川の岩盤を流れる水は
岩盤の裂け目から
襞の入った白いレースのカーテンとなり
直下の岩盤に落下した水はまた元の流れとなり

水は岩肌を滑るように流れ
そのぬめぬめした岩底には
泡一つ遠目からは見えず
落下するとき初めて泡立つ
ただ岩肌の凹凸に沿って滑るように見えながら

百年二百年……
千年二千年……
いや九百万年前から延々と続く創造

気の遠くなるような年月
昼も夜もその造形を少しづつ
しかし、確実に変えて行く
次第に上流に移動する滝

利根川上流の奇観の
創造過程は
ただ思い巡らすだけで
見ることはできない。

一瞬を見ることはできても
経過を実感できない
それが事実という
それが真実というものだ。

※川底は溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)
気孔が減少し密度が高くなったもの

レンズ状の黒曜石など
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