素足のリフィル/桜 葉一
 

白く華奢な腕を振り
裸足で駆ける可憐な少女
誰かに似ている少女の笑顔
いつかどこかの夢の話 


電話のベルで目覚めた朝
寝ぼけ眼に受話器を取る
電話の男は慌てて言う
「素足のリフィルが見つかったぞ」


煉瓦造りの町並みを抜け
空が澄んだ丘を上る
強い日差しに照らされるのは
リフィル・コーダを刻んだ墓石


陽が谷間に落ちるとき
雲が彼方へ旅立つとき
闇に包まるその世界で
1つ光る銀の欠片


水面に映る2つの影
交わす言葉は記憶の化石
脳に残る素足の少女
同じ景色の重なる夢


忘れかけてた光る思い出
ほんのり香る優
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