純 潔 1/るか
 
      しれない、秋の風も冬の風も、いつも冷たく肉を切
         るようだった、おまえの艶やかな下着がおれには鋭
         利なナイフのようにみえる、おれはいつも自分の臍
         帯を切断するのに必死だった、八方切りつけては嘔
         吐を繰り返していた、どこにも逃げられはしなかっ
         た、呼吸ができない、おれは呼吸ができない、呼吸
         も知らない馬鹿か子どもだった、白痴だった、おま
         えを渾身の力で喜ばせながら、おれは思い出してい
         る、砕ける波頭、点火された導火線のようなもの、
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