無題/
豊島ケイトウ
もともと世界は一連の階段だった
一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
首をひねって
ひねって
ひねるたびに一人死に
二人死に
「ら」が「ら」になる少し前に「ん」を「ん」で終わらす少し前に
階段のとば口はお墓でいっぱいになりました
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