航海/
たもつ
母は毎日サンドイッチに
海をはさんで食べていました
そうすればいつか船に乗って
父が帰ってくると信じているのです
花言葉は覚えていても
花の名前は忘れてしまう
そんな母でした
父はベッドという船に乗って
天井を見ながら
ここは俺の家ではない、と
今日も頑なに言い張ります
海の男でした
立派な船乗りでした
戻る
編
削
Point
(9)