ちょっとだけとぶ?/初代ドリンク嬢
洗顔フォームで歯磨きして
口の中になんともいえない
厭な後味をさせながら
道を歩いていたはずなのに
道はなくなっていた
落ちたと思ったのに
光に包まれて空にいた
でも
やっぱり落ちていた
すごく気持ちが良くて
自分でも知らないような
穏やかな顔をして
落ちていた
両手を少しだけ広げて
幸せそうだ
暖かく
コーヒーメーカーにフィルターを入れ忘れて
溢れかえった
無理やりに飲んだコーヒーは粉っぽかった
でも
やっぱり落ちていた
カレーとか
雨上がりの土の臭いが近づいてくる
地面に墜落したら痛いだろうなあ
と思ったら
沼にどっぷりつかっていた
目と鼻だけが水面から出て
溺れてはいない
ジャングルの沼
なのに森の向こうは
ラスベガスのようなネオンがキラキラ
道もなく
空もなく
沼に浸かったまま
手足をバタバタさせても
進まず沈まず浮かず
息苦しいけど
窒息するほどじゃなく
目だけがギラギラ
う〜ん
どうしよう
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