ひとりしばいのけしょうどうぐ/たりぽん(大理 奔)
 
けさ見つけた虹の分光率を
記憶のプレパラートに照らし合わせます
虹は厚みを持たないので
それがふさわしい隠れ家なのです

もっとも似ている屈折率を
大地の公転軸に合わせて傾けながら
夕日に透かすようにかざしてみます
薄っぺらなものはなんて綺麗なんでしょう
赤方偏移したまま
ずるい感じで濃紺色の冷却層に
そんな実験です
  傷つくのは私一人でいい

どうも信号の分離が悪いようです
試料をそろそろ片付けましょう
綺麗なものだけを保存するために
液体窒素だって用意しています
  つめたいだけの
貼り付けた虹が割れないように
一日かけてゆっくりと冷やしていきます

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