幸福の神様/385
 
摂氏二十度の夜 眠れずに徒歩五分
自販機の前で飲み物を選びながら
サンダルの足下に生ぬるい感触を感じる

猫が一匹
オスの三毛猫 手の平サイズ
希少価値で動物学者に売れば
幾らかになるんだろう

変色しもう使わない皿を引っぱり出す
賞味期限二日過ぎた牛乳を注ぎ
鼻先に押しつける

案の定怪訝な顔をしながら
それでも音を立てて舐める
その前で ふと考える

名前を付けたいのか
名前を付けるだけでいいのか
読んでやれば振り向くのか
愛されるのか
報われるのか

夜中三時 そろそろ瞼が重い
もうつき合ってやれないけど
起きたらししゃもを焼こう

(020527)

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