ふあんな街は犀の背中にのっている/石川敬大
 



 オタマジャクシが
 ぼくのまぶたの裏側に棲みついてしまった
 けれど、だれからもみえない
 ぼくにも
 影の輪郭しかみえないが
 たしかに棲みついて動きまわっている

     *

 あまりの暑さに逃げ込んだ
 ショッピング・モールの四階駐車場からでもみあげるほどに高い
 ツインの高層マンションが
 この街のシンボルだとして
 この街はオタマジャクシではない
 オタマジャクシは
 この街をプランニングした
 デザイナーの頭のなかにいたはずだ
 どこからかあらわれて頭のなかをしきりに蠢き
 やっと静かになったカタチが
 この街なのだ

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