Go On/
寒雪
自分の存在が絵空事に思えて
目が覚めた時
ベッドの上最初に脳裏に映し出されたのは
指の筆で書き殴った白色の天井
湿っぽい蛍光灯の
頼りなげな光に包まれ
泣きじゃくる母親の嗚咽が
目の奥に焼きつく
葬儀場の開いた窓から
しめやかな読経を耳にすると
左手首の傷跡が疼く
先ほどまで
彼だった雲はいなくなって
そこに白猫が座っていた
身震いに僕は思わず
左手首の傷にキスをした
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