焼島  /楽恵
 
がら逃げ惑う
騒いでお互いの無事を呼び合っている
持つものも持たず、とりあえず港の方に逃げる事にした
迫り来る火から必死で逃げる
小さな島である
ただ、こんな日がいつか島にやってくること
予感していた
島は昔から時々焼けることがあるようだった
近いうちの焼島を予言した霊能者も多くいた
港に着くと人々が押し合うように漁船に飛び乗っていた
混雑を避けながら空いている船を見つけ、乗りこむと本能のまま全力で櫂を漕ぐ
小さな島である
火が島を焼き尽くすまで1時間もかからなかった
船に乗り島を離れた人々は
海上から夜空を焦がして
島が焼ける様子をただ黙って眺めていた

戻る   Point(8)