ミニミニおやじのミニな終焉/salco
 
運び出された棺は小さかったので
担ぎ手は四人で足りた
会長は、喜寿を過ぎても出勤していた
迎えの車がリムジンだったのは
会社の沽券に関わるだけの事で
カーヴに技術を要するサイズだったのは
次期会長以下、役員全員が並の背丈だからで
会長も、奥さんが生きている頃は並だったのが
先立たれてから次第に小さくなっちゃって
亡くなる頃には20センチがた縮んでいた
尤も、奥さんが生きている頃はまだ常務で
電車通勤だったけれども、
代表取締役に就任した頃には世界一小柄な
大企業のCEOと言っても差支えなかった
入社した頃と違い、
会社の方が随分と大きくなったせいもある
ちょうどその
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