墓標/
うずら豆
眩いばかりの夜景
愛を語らう恋人の横で
血を流してる男がいる
腐った内臓から異臭を放ち
神経の切れた手首は紅く染まっている
誰も気にかけない
苦しみは男だけのもの
夏の蝉のような
儚い人生
もはや鳴くことも
飛ぶことも出来ない
ひっくり返ってもがくだけ
恋人たちは去っていき
男は静かに夜景を眺める
この広がる夜景の中で
どれだけの人が幸せで
どれだけの人が不幸なのだろう
万華鏡のような夜景
それは狂った墓標に見えた
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