ナイト・クルージング(乗員も客も数える必要はない)/ホロウ・シカエルボク
 
の明かりが見えると
堤防を降りて飲物を買う
このあたりを歩いていると
喉が渇いていなくてもここで買ってしまう
昔は小さな店があったらしい
自販機の後ろで閉ざされたシャッターは
もう開かないことに慣れてしまってしばらく経ったみたいに見える


耳の中でルー・リードが
赤ん坊のひとりごとみたいなギターを弾き続けている
それは身体のシステムにとても忠実なリズムのように思える


月が躊躇いすぎて
結局出所を逃してしまう
雲に覆われてくすんだ
妙に情けない黄色を見ながらもう一度橋を渡る




もう魚は跳ねない
あいつの役目は数十分前にすっかり終わってしまった





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