デート/投稿者
 
と言うと、
表情も変えずに、
「はい」
と言う。
嬉しいが、公衆の面前で女の子のおっぱいを揉む勇気は、
僕には無い。
それより、なにより、
その基準の仕組みがわからなかった。
聞けば、
「暴漢は『手を繋ごう』なんて言わないじゃないですか」
と言う。
「だから…」
迷路のような。
僕は、
「暴漢は『キスをしよう』とは言うかもしれない」
と思ったけれど、
それは言い出せなかった。
どきどき、どきどき、した。


君がまた急に、
海援隊の「贈る言葉」を歌い始めた。
静かに、
静かに、
ささやくように。
たしかに辺りは、暮れなずむ街そのものだったし、
僕は夜の街の上手な過ごし方を、あんまり知らなかったし、
そうして、
どちらからともなく、
僕たちの初デートはお開きになった。


いま、
こんなに素敵で、
こんなに素敵な君、
こんなにも素敵で、
こんなにも素敵な君と過ごした一日、の話を。




   そんなこんなで 今日は
   君って人を もっともっと好きになったんだ
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