中途半端なアダルトチルドレン/チカモチ
 
の通った会話を人としてきたことがないのよ。だからあなたとも向き合えないの。考えてみれば私もあの人とそういう会話をしたことないもの。だから仕方ないの。わかってあげて。母は真剣な顔でそう諭します。
ああ、あの人もどうして何も言わずに、何一つ心を通わせようとする努力をすることもなく、背を向けて黙って去って行ったのでしょう。どうして。どうして。どうしてみんな、肝心なときにぶつからないで逃げるのでしょう。

自分を嫌いになることはそんなにないのですが、ある種の欠陥品だとは思います。何かが欠けている。陳腐な言い方になりますが、おそらくは愛が。愛というものが何か、愛に包まれた感じがどんなものなのか、たぶん
[次のページ]
戻る   Point(0)