温泉街/捨て彦
 
。おれとトミーと小林君は必死になって大洪水を浮き輪で浮かびしのいだ。
それから丸一日ほど経ったか、大方洪水は止み、後には建物の瓦礫とドザエモンが散乱していた。トミーは「だからあんまりやりたくないんだよ」と苦笑しながら小林君を通じておれに言った。
それからおれは丁寧に彼らに感謝をし、分かれた後、近所のホームセンターに行き、縄を購入した。足湯の辺りを死に物狂いで捜索すると、おれを襲ったデーモンが気絶していた。そいつの身体を縄でぐるぐる巻きに縛り、比較的被害の少なかった別の宿にそのデーモンを連れて泊まりなおした。
それから火曜日までをその宿で過ごし、火曜日のアラームが鳴った瞬間に、おれは鬼というよりは鬼神のごとき雷神の感じでもって、その宿もろともデーモンを消し炭にしてから家に帰った。


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