夜があけたら/天野茂典
どうしても美化してしまうことばの媚薬
悲しいかい
悲しくなんかないや
そういってもらったほうが助かる
孤独は甘いものなのだ
パンドラの箱のなかで過ごしていればそれでいい
だれも開けてはならないんだ
だから宝のようにそっとしていられるわけだ
電話も
メールも通じないましてや友達なんかこやしない
秘密の部屋に籠もるのだ
人間が恋しくなるのはそんなときだ
愛しくて堪らなくなる
友達がほしくなる
箱を開けて外へ飛び出したくなるものなのだ
人は社会的動物なのだ
コミュニケーションがほしくなるのだ
狼少年
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