夜やまぬ夜/木立 悟
星の虹が
路を馳せる
無と刹那
指と指の差
曇は飛び去り
岩は残る
暮れの雨の手
無数に押す手
夜が夜になるときの
色とにおいの減り具合
音は染まらず
ふちどられゆく
呼ばれているのに
応えられない
多くはさらに遠くへゆく
残される色 はじかれる色
左が熱く
胸をそらす
過ぎては過ぎる
水のよそいき
たたずまい冷たく
ほそおもて やや染まり
からからと内側に
扉を閉ざす指を残して
とどまるはずの鳥は去る
橋ひとつ分の夜をわたり
風は風を振りかえる
川の上の雨 止まぬ光
星にわたす菓子
空へ放り
屋根に返る鈴
今日を眠る
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