わたし (ご利用は計画的に)/乾 加津也
わたしがわたしをいう
みどりごの茂みがでこぼこの洞穴に落ちこむ
そこで
太陽は負のみなもとを活着させてしめつける
「朝がこないよ母さん!」
ブイと灯台をひとつひとつつむぎ囲んだ海岸線で
葬送の儀があかるく響きわたる
(手綱ヲヒケ 棺ヲオロセ)
けものを食む けばだつ芝生にいろはいらない
まっしろなほそい根は恥じらいもなくまっすぐ延びひろがる
(航海日誌ヲクサラセル)
路傍が人を徘徊し
雲のうえで澄みきったモニュメントが足元を下から押しあげ
瞼の凍土で季節風が吹きすさみ
洋上を七巡すればみどりごの瀝青になれるよ 座礁するまで
(ホントツキアゲル桜吹雪ノヨウダネ)
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