恐竜は鳥になってしまった/佐々宝砂
恐竜は鳥になってしまった
大空を羽ばたくかわりに
偉大さをなくした
朝 にわとりが声をあげる
恐竜の飛べない子孫が
景気よく声をあげる
より大きなものを知るためには
偉大であってはいけない
一番であってはならない
にわとりに餌を投げながら
にわとりが得たものについて考える
にわとりが失ったものについて考える
恐竜の足跡が
庭に記されてゆく
あれは
ジュラ紀だったか
シルル紀だったか
思い出せないはずはない
わたしにも血は流れているのだ
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