ヤンマの日/夏緑林
 
ふと感じて
視線を上げると

一対のみどりの複眼に捕らわれた
陽だまりの中で静止したまま
波紋のように威嚇する
縄張りを荒らす気分じゃないし
恥ずかしいからあんまり見るなよ
半歩退いた途端に
フッと消えた

わかっている
また戻ってくるんだろう?
ふと閃いて 
懐のカメラに指をかけるが

わかっている
ヤツはもう戻ってこない

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