あんず飴/
Akari Chika
夜に散る火花に
誰もが見とれ
歓声を上げる
だけど
私の心は
いつまでも
宴の後
売れ残った
あんず飴のように
置き去りにされたまま
ほろりと
溢れた
涙も
夏の湿気に
紛れて
消えた
太陽に似た色の魚
片手に下げて
お喋りの尽きぬ帰り道
惜しむ気持ちを
言い出せず
一つめの角で
「さようなら」
二つめの角で
「また明日」
手も触れず
肩も触れず
ただ
声だけが触れた
宴の後
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