あんず飴/Akari Chika
 
風の弱い 祭りの日

千代紙で折った鶴を
そっと巾着に忍ばせた

少し早足で あなたと並ぶ

慣れない下駄に
つまずきながら

漆黒に
赤や青の屋台が
眩しくて

熱気に
真横の声すら
遠くなる

白く昇る
食べ物の蒸気に
はしゃぎながら

静かに 時を待っていた

手が触れ
肩が触れる
その瞬間を

あなたは
美味しそうにものを食べ
屈託なく笑い

幸せそうに
大輪の花を仰ぎ見ていた

だけど
私の心は
あんず飴のようで

熟れた果実に
絡まる
水飴が
甘美に
痺れ
溶けだして

痛々しい姿に変わる

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