ひとりの物になる為に/鵜飼千代子
 
       誰だって本当は気持ちのいい場所が好きだから
          温かさはゆったりと残るけれど
          痛みは早急に出来事を封印し心の奥底を侵してゆく
          しらずしらずに新しい犠牲を求めて床をゆき
          さらに弱いものを追い詰める

          内の寒さは外の寒さより以上に身にしみて
          それを外に晒すことは内部告発として糾弾される
          ひかりの入らない蔵の中で飼い殺しにされるのは
          細かな事ばかりが目についてさらに神経を尖らせる

          さりとて

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