ひとりの物になる為に/
鵜飼千代子
ひとりの物になる為につくり込まれているわたしは
その為に負う孤独には強くあるよう鍛えられている
それはとても危険なことで
守るべきものがその責を放棄したとき
すべてが土煙をあげて崩れさる
囲い込まれた内は温かでなければならず
外気よりも凍える風はいらない脂肪ばかりを蓄える
零下のタイルにお湯をかけても瞬時に凍り付くように
自らの体温と引き換えに温めるのには限界がある
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