mean/コーリャ
 

mean meanと蝉がぼくを詰っている
いじわるなぼくは
アスファルトにおちているつよい水性の日差しをひろってたべる
夏というのは架空とおもう
ふとてのひらをすかしてみると
うすい水かきが指のあいだに張っている
北極までいこうぜ
泳いで

大人のくせにいつも半ズボンだった彼は
あるとき虫取り網と虫かごをかついで
ハピネスをつかまえにいってくるといって
どこかに消えた
かれは死ぬように笑っていた
しかもちょっと透けていた
青というの色の真実は熱量をはかる尺度だった
ほんとうの夏だった
こんな暑さにはそれを思い出して
あのとき彼が餞別だぜといってぼくにさしだし
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