たかさごゆり/小池房枝
 
強健な外来種

定年退職後の町内会長をしてさえ
「この百合は、飛ぶんだ」と
突如詩人たらしめるほど
尊称としての雑草に値する雑草

彼らを
彼女らを
テッポウユリと呼んで欲しくないのです
テッポウユリではないのですから

あれはタカサゴユリで
どこからか自分で飛んで来たユリなのだと
やがてまた去っていってしまうユリたちなのだと
知っていて欲しい
招いたからといって
生えて来てくれるようなユリではないことも

秋ごとにもう何年も
はじけた莢を見つけては持ち帰っているのに
アパートの敷地には未だ気配もありません

莢には毎年
よく風に飛ぶ種が数多抱かれているはずなのに

タカサゴユリ
わたしなら君の名前を呼ぶのに
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