ブラックボックス/望月 ゆき
 
その中に落とされたとき
から
ぼくは羽につつまれていた
するするとした感触のそれの
色を知ることもなく
カタチを知ることもなく
いつも
その中でまるくなって
ねむった


何万回もねむった頃
ぼくは
裏切りや
憎しみや
神様、などというものの存在を
知り
同時に
神様、などというものは存在しない
ということも
知った


目をひらいていると
時にはひかりが見える、こと
を知ったぼくは
ぼくを包んでいた羽の色
を知った
羽、と思っていたそれは
黒く
黒く
それは緑のごとく
黒く、
細かった
糸のように


落とされた世界は

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