だけど、そういうことって/ホロウ・シカエルボク
だけど今は駄目だな
「どうして?」
「腰に力が入らないもの。」
ハハハ、と娘ははっきりと笑う、そして言う
「この腰ヌケ!」
なんだ、そりゃ、と俺
「だからそう言ってる。さっきヌイちゃったばかりだって。」
腰ヌケ!腰ヌケ!と
娘は俺の背中をバンバン叩いている
俺には彼女が次に何を言うか判っている
「だけど、そういうの、結構キライじゃないのよね。」
俺たちはカウンターに戻って
それぞれの好きな酒を飽きるまで呑む
とりとめのない
嘘と本当の境目の
真実を話しながら
朝が来て
バーイと言って
俺たちは別れる
大した出来事じゃなかった
だけど
そういうことって
戻る 編 削 Point(4)