震える心/Akari Chika
遠慮がちに
欠ける月を見た
半分も満たすことができず
けれど決して消えない
いつまでも
見ていたい
月だった
ワイヤーを巻かれた幹
黒く浮かび上がる建物
携帯に落とした目線
誰を呼ぶ訳でもなく
荒れた肌撫でて
僕は不意に
死にたくない
死にたくない
なんて
思いながら
本当は
遠慮がちに
生きている
自分に気付いた
震えない心
震えたいのに
月は随分
赤茶けていて
砂漠の夜を思わせる
ずっと
眺めていたい
月だった
例えば
壁中に絵が架けられている
部屋があって
その部屋の隅で
膝
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