決別のひと/恋月 ぴの
 
かと早足に歩む

長く曲がりくねった道の終着点が見えてきて
今以上の幸せは望め得ないとしても
私たちは歌うことを忘れたりはしないだろう

でもそれは花はどこへ行ったと問い続けるような歌ではなく
ごくありふれた他愛もない歌だったりする

そしてそれだからこその人生であって
半ば諦めつつも
絶望よりも仄かな期待を胸に抱いて
今日って一日をやり過ごす








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