ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
凛は、
「すみません、面接にきたんですが……」
 朝やけが染めゆくさ中、
「こいつはね、何か俺には崇高な使命があるのに、それを忘れさせられて地球に幽閉されてるんじゃないのかなとか思ってるんじゃねえの?」
「水中で動くマンタのプラモデル、作る、面接に……」
 ケイビインの小さいほう(猫背のためか)が、
「それでね、人生の渦にのみこまれ、がんじがらめでやりたいこともできない。やりきれないことばかりなんだよ! こいつは!」
「マンタに水が入らないようにする内職の仕事を、もらいにきたんですが……」
 乱暴な男が、
「うるせえよ! もう死地にいるんだよキミは。消えな!」
 猫背が、

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