ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
タバコをふかしながら窓を開けたときだった。いつものように目の前に電線が走っていたが、その日の電線には三角の旗が何枚も取り付けられていたのだ。「おもちゃ」と書かれてある。
「なんだ! いったいどういうことだ!」
 とるものもとりあえず階段をかけおりると、母親が笑いながら話しかけてきて、
「明ちゃん、どうこのおもちゃ、かわいいでしょ?」
 アヒルのぬいぐるみだった。明はしばらくあっけにとられて、ぐるぐるとした目で母親を見つめていた。
「……おもちゃ、……」
「今日、一緒に斧北通りにいかない?」
「……いや、一人で行く……」
 高校生探偵渋谷明はこのなぞを絶対に解いてやるとの決心のもと、
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