ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
んでくれた人たちがいたとしても何の芸も見せなくなたことにもはやすでに愛想を尽かしきっているに違いない! ああ! 昔のやつらよ! 同じやつらがずっといてくれてるなんてことは確かに不自然なんだよ、ここに住んでいるということしか今きてるやつらは俺について知っていないんだ、俺が歌った歌、そのひとふしすら知らないで座ってやがるんだ! 俺はただ飯を食い、眠り、素の俺を見せているそれだけの奴だと思われているのだ」
そして、後ろを振り返り、
「奏者にしてもそうだ。むかし知っている顔がない。はじめて見る面々ばかりだ。待て、こうして奏者の顔をまじまじと見るのも何年ぶりだろうか。一度、千摺りしていた時、それを俺の
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