ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
ないんだ。僕のためになら死んでもいいよって、そんな気持ちにはなってくれないんだ。そこまでは。僕は、もっと深く愛したい。その人のために死ぬことを厭わないぐらいに愛したかった。そして深く愛し返されたかった。幸せになりたい、幸せになりたい、ただそれだけだったんだ。何だよ、何でだよって、悲しくってしかたなかったけど、考えてみれば、昔の奴隷たちはもっと酷い仕打ちをされて、生きつづけてたんだよなって。戦国時代、その時代に生きてた人はいかに苦しかっただろう。いかに頑張っただろう、凄まじい苦しめにあった者もいただろう。でもそんな時代だったからこそ、誰かの、誰かからの信頼や愛を確信できたら、その時、どれほど嬉しかっ
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