ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
 
いつも、いつも、毎日たのしそうに談笑していた。僕はその職場をやめた。理由なんてどうでもいい。わけはある。いろいろな事情はある。だけどそんなことは誰にも言わない。口に出しては言わない。そこが一人っきりの、僕だけしかいない散らかり放題の部屋であったとしても。ノートにも書かない。ただ自分の心の中でなんどもつぶやくだけ。
 就職しなければならない。働いてもっとたくさん映画を見たい。DVDを買いたいんだ。たくさんね。いろんな映画を見ていって、そんで原作の小説も読み込む。そしたら何かが見えてきそうな気がするんだ。おぼろげだけどね。おぼろげさ。でもそれが僕の未来にも少しかかわっているような気がするんだ。自分の
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