何も終わらない/
及川三貴
強い風で海から潮があがる
輪郭を弱めて 遠い
少しよろめく程の 嘘がいい
丁寧に紙を貼る 名前を無くした
もう誰も知らない信仰
角が取れた河口の石は
死の形をしている
記憶は疲れた顔をしている
陽を隠した掌の陰
微笑んだ口許は
私を何時までも苦しめる
あれは何年そこにいる
錆びの苦しみに 身体を晒して
内側からすこしづつ溢れてくる水だ
届かない
ここが中心
願望の先にある時間
想像する
間違いだった
ここが中心
嘲りの美しい声色
ここが
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