開いて/
及川三貴
指先に留まった苦しみを
息でそっと包み
薄闇色の瞳に差し出す
雨の映らない水平線
雲が滲んで共鳴する
あの先には願いがあるの 海の中は冷たくて
重ねられた言葉 鈴のような声が
私をつらい場所から軽やかに救ってくれるといい
狂った赤色は君の名前
君の少し疲れたまごころで
生きる為の剣が許されるのならば
いつか私はそれを許す身体になりたい
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