あおぎみる、なつ/唐草フウ
服を脱げば
汗をぬぐえば
そこには
熱い風でもない湿りでもない
夏が
夏というものが現れる
幼子のころを思い出すなつ
幼子はおとなにあこがれた
おとなになったら
きっと宿題もなくて
おかねがたくさんつかえて
すきにいきられる
おとなのいまに宿題はない
といえばない
でも同時にいくつもの昆虫もさかなも
あたまのなかで生かし ころし
あのころ、あさがおの鉢からこぼれ落ちて
そのままに生かしてたら
森になって
照り返した
コンクリートのはこへ 吸い込まれ
夏をまとわりつけたままのわたしは
風が吹いても冷めない夢の段
転落は秋
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