国際線/天野茂典
 
与えず
   ダートに踏みこんだのだった
   彼女の走行をバックミラーで確かめながら走ったが
   途中大丈夫だと思って私はかってにスピードをあげた
   S字のカーブを何度もめぐってもう少しで頂上
   というところで彼女がついてこないのを知った
   引き返したしばらくゆくと
   (先生・・・先生・・・センセイ
   と呼ぶ声
   が聞こえた
   彼女は崖から落ちたのだった
   谷の底に動けないでいた
   圧搾骨折と知ったのはレスキュー隊に救出されて
   病院についてからだった
   バイクは木の股に挟まれて宙に浮いていた
   私は父親から優しく諭
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