私の好きにさせてくれ 2/テシノ
らなかった。
実は彼の家系は代々ハプスブルク家お抱えの楽器職人だったもんで、はっきり言ってルドルフを馬鹿にしてたわけだ。
そんで、あろう事か献上時計にある仕掛けをしてしまう。
ほら、イグナーツは時計担当だから。その時計部分に細工しちゃった。
ベーヘメンはなんにも知らない。最高級のローズウッドに技の全てを出し切って装飾を施した。
そんでまた、ルドルフもなんにも知らずに一目でこの時計に惚れ込んだ。
で、その日の夜。
いや正確に言うと、午前0時を30分回った時だから、翌日になるんですが。
時計が時を告げたんですね。ボーンと。
0時30分なのでボーンと1回鳴るのはいいんだけど、この時
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