波打ち際/CAMILLE
うっ、と僕は言った
どうしたの、とは誰も言わなかった
当たり前さ僕は今波打ち際でひとりだもの
だからうっ、と言う
最近は便利な機械がたくさん開発されたから
勇気さえあればいつでもうっ、と言う
ただうっ、と言うのは
どうしたの、を期待するからであって
たいてい波打ち際で僕は不利です
うっ、と言いたくなる時点で
波の音のかつての記憶はない
ただ波打ち際に慣れてくると
僕がうっ、と言った後に
うっ、という音を拾うことがある
音に投げる縄がたまに
きれいな貝殻に引っかかることがある
うっ、と僕は言う
うっ、、、
天候は不順だが
この縄には感触がある
波打ち際ではいつも自分が遊んでいます
戻る 編 削 Point(0)