『渦の女』/川村 透
白い手袋から細い糸がほつれ
ほのかに彼女の残り香をはらんで糸は際限なく生まれて来る
僕の廻りをぐるぐると巡りながら
僕を白い糸で繭に閉じ込めようと彼女は笑っているではないか
僕はこのまま、
白い大きなゼリービンズとなって彼女になでさすられ磨き上げられて
いつか、
この都会に棲む昆虫人として孵化し、育てられ、
あの、金色の嵐、の、ひとかけらに、なるのだ。
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【初出】Fcverse
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