正常な檻の中での願い事/松本 卓也
それらの視線
それらの仕草
それらの言葉
それらの感情
ただ心に浮かんだ気持ちを
少し呟いただけなのに
場違いな吐露とでも言わんばかり
ほんのここ数年間
伴侶といえる相手がいなけりゃ
他人の恋愛事に首を突っ込む資格すら
無くすというのかい
異常なのは僕の方?
経験や知識、見聞と感傷
全てを否定されて
ゴミが囁いたかのような
誰に否定する権利を与えられたか知らんけど
表現を無くした言葉の持ち主は
逃げ去って閉じこもるしかないじゃないか
正常な感情とやら
正常な同情とやら
正常な感傷とやら
正常な憐憫とやら
何が何だか知らんけど
ど
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